2017/01/10 11:30

コニファー(conifer)とは針葉樹の事ですが、日本では主に園芸品種群に対しての呼称です。

住宅の洋風化が進んで久しく、和風の庭木より洋風のコニファー似合う家が多くなりました。

コニファーが日本に浸透して随分経ちますが、「(立性の)コニファーは、すぐ大きくなりすぎて困る」という声をよく聞きます。

郊外の広い庭ならともかく、街中ではコニファーをめいっぱい大きく育てるのは、難しい事が多いと思います。

定期的な剪定と刈込で、大きさは維持出来るのですが、実践は大変かと思います。

そこで、現代の園芸事情に適した、矮性種のコニファーや、小高木でも比較的管理し易い品種を以下に御紹介します。

尚、樹高は目安であり、環境や仕立て方等で違います。成長期は良く成長する品種でも、このぐらいの大きさになると、成長が緩やかになるという程度の認識で宜しいかと思います。


余談ですが、当園は以前、コニファーは立性の品種だけを数種、大量生産していました。

現在は這性の品種を中心に生産しておりまして、立性の品種は少なくなっております。

良く育った親木も処分する等して写真を撮影出来ないので、若い苗の写真ばかりになります。

なかでも、ヨーロッパゴールド等は、刈り込みされた成木は見事ですので、掲載写真は見劣りします。




◆ヌマヒノキ(Chamaecyparis thyoides)


●レッドスター(Red Star)

冬は赤紫色に染まり、とても美しい。


春から秋は淡緑色。


樹高約2mほどに育つ、矮性種のコニファー。

パープルフェザーの名でも流通している。

枝葉が密に茂り、自然と綺麗な狭円錐形に育ち易い。

成長が遅い矮性種で、剪定の手間も少ない為、狭い場所にも向く。

葉色は、春から秋は淡緑色だが、冬は独特な赤紫色になり、とても美しい。

冬の日当たりが悪いと、赤紫色の発色が悪くなる。

半日陰でも生育するが、上記の理由により日向を推奨。

耐寒性はやや弱く、露地植えの植栽範囲は東北南部以南。


※関連記事

ヌマヒノキ ”レッドスター(パープルフェザー)”:冬に美しい赤紫色に染まる、綺麗な樹形のコニファー




◆ニオイヒバ(Thuja occidentalis)


●エメラルドグリーン(Smaragd)

グリーンコニファーの定番品種。



本名(学名)はスマラグだが、エメラルドグリーンの名前で広く流通・浸透している。

樹高約4m~5mに育つ、グリーンコニファーの定番品種。

葉色は濃緑色で、冬は若干褐色を帯びる。

よく似た品種のグリーンコーン(Green Cone)に比べ、枝葉が密で、綺麗な円錐形に育ち易い。

葉を揉むと、柑橘類のような甘く爽やかな香りがする。

鉢植えだと成長がやや遅いが、露地植えにしてしっかり根を伸ばすと、急に成長速度が上がる。




●ヨーロッパゴールド(Europe Gold)

春から秋の様子。


葉の先端の方が黄色。


冬はやや褐色を帯びる。


樹高約4m~5mに育つ、イエローコニファーの定番品種。

葉色は、春から秋は黄色だが、冬はやや褐色を帯びた黄金色。

葉の先端が黄色で、内側は緑色に近い。

枝振りは密で、樹形は円錐形だが、エメラルドグリーンよりはやや粗い。

刈り込むと樹形が整うほか、枝葉が密に茂り、綺麗な黄色の円錐形になるので、刈り込みを推奨。

葉を揉むと、柑橘類のような甘く爽やかな香りがする。

日差しが足りないと、黄色の発色が悪くなるので、日向での植栽を推奨。

成長速度は、エメラルドグリーンに準拠。

秋頃に、内側の古い葉を落とすコニファーは多いが、ヨーロッパゴールドはこの落葉が特別多い。





◆コノテガシワ(Thuja orientalis)


●エレガンテシマ(Elegantissima)

春から秋の様子。



冬は赤茶色になる。


樹高約5m~6mに育つコニファーの普及品種。

葉色は、春から秋は黄緑色だが、冬は紅茶のような赤茶色になる。

日当たりが悪いと、冬の赤茶色の発色が悪くなる。

自然と密な狭円錐形に育ち易い。

成長は早い。

近縁種に、樹形がより狭円錐形に育ち易い、エレガンテシマ・ストリクターがある。

判別は難しい。





◆エンピツビャクシン(Juniperus virginiara)


●スカイロケット(Skyrocket)とブルーアロー(Blue Arrow)

上の写真はスカイロケット。


どちらも樹高約4m~5mに育つ、エンピツビャクシンの定番品種。

葉色は、春から秋は青緑色で、冬は白色と紫色を帯びる。

枝葉が上向きに伸び、密に茂る。

樹形は円錐形。

成長は早い。


スカイロケットとブルーアローはよく似ているが、主な差異は以下の通り。

・葉色は、ブルーアローの方がやや青い。

・横幅は、ブルーアローの方が狭い。


よく似ている為、両者を混同して販売される事が多い。





◆コロラドビャクシン(Juniperus scopulorum)


●ウィチタブルー(Wichite Blue)

春から秋は白色を帯びた空色。



冬は白色を帯びる。


樹高約3mに育つ、ブルーコニファーの人気品種。

青色のコニファーは数あれど、空色を白くしたような、独特の葉色がとても美しい品種。

冬は白色を帯びる。

滴のような円錐形に育つ。

成長は遅い。

人気品種だが繁殖が難しく、数が少ない。




●ムーングロー(Moon glow)

春から秋の様子。


冬は白色を帯びる。


樹高約3mに育つ、ブルーコニファー。

枝葉がとても密に茂り、自然と狭円錐形に育ち易い。

葉色は、春から秋は緑色を帯びた青色から銀青色で、冬は白色を帯びる。

成長は遅い。

近縁種に、ブルーヘブン(Blue Heaven)やブルーエンジェル(Blue Angel)等がある。




◆アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)


●ブルーアイス(Blue Ice)※更新途中





●サルフレア(Sulphurea (Sulfurea))


樹高約4~5m前後に育つ、クリームイエローのコニファー。

写真では分かり辛いが、黄色を帯びたクリーム色の葉色はこの品種特有の色合い。

葉はアリゾナイトスギ独特の形状であり、美しい色と相まって、とても観賞価値が高い。

近縁種のブルーアイスに比べて成長が遅いので、管理し易い。

枝葉が密に茂り、綺麗な円錐形の樹形に育ち易い。

根の張りが悪い為に倒伏し易いので、支柱を立てる、風当たりが強すぎる場所を避ける等の対策が必要。

耐寒性はやや弱く、露地植えでは東北南部以南が適地。

繁殖がかなり難しく、人気はあるが供給量が少ない。



日照が足りないとクリーム色の発色が悪くなり、上のような淡緑色になる。

この色も綺麗だが、やはり日向の方が良いだろう。

冬はやや褐色を帯びる。



※関連記事

アリゾナイトスギ ”サルフレア”