樹木の剪定と刈込 | 神多野園芸

2018/05/12 16:57


【はじめに】

剪定(せんてい)とは、製枝(せいし。樹形を整える為に不要枝を除いたり、枝の長さ等を整えたりする事)や、樹木の生理現象の調節(短果枝を増やして花や果実を増やす)等を目的として、樹木の幹や枝を切る事を言う。
特に高木は、広い場所を確保出来ない限り、剪定で大きさを維持する必要がある。
庭師に依頼するのが一番宜しいかと思うが、自分で行いたい場合もある(特に鉢植えや盆栽)。

剪定をした事の無い人はどうすればよいか分からないだろうし、失敗したら怖いと思うだろう。
しかし、適期に剪定を行えば、樹木の健康に良い他、
剪定すると、その付近から枝が複数伸びて、枝振りも良くなる。
良い事が多いのだから、剪定の適期や遣り方を覚えたら、恐れずに行うと良い。
分かり辛くて恐縮だが、以下に剪定の仕方を簡単に纏める。
(絵を描いて説明出来れば良いのだが)




【剪定の適期】

剪定を行う前に、樹種の剪定に適切な時期を把握しておく事が肝要。
不適切な時期に強い剪定を行うと樹勢を弱め、最悪の場合、枯死する恐れがある。
調べ方は、図鑑を見たり、詳しい人に尋ねたりすると良い。
適期は、地域やその年の気候によって幾らか変動する。

大雑把だが、落葉樹は厳冬期を除く落葉期が目安。
常緑樹は春に伸びた新梢が固まった頃から梅雨の間が良い。梅雨明け後の真夏に剪定すると枝先から

枯れものもある。
花木は花芽を落とさないように注意する。
上記は大まかな目安なので、樹種の適期は個別に調べるべき。




【目標】

剪定対象の樹種について、剪定の適期等を調べたら、剪定の目標を定める。
剪定と一口に言っても、目的によって方法は様々である。
最たる例は、庭木や鉢植え等の大きさを維持し、樹形を整える事と思う。
目標の樹形と大きさはそれぞれだが、剪定後に新芽が伸びても、隣の樹木との間に十分な隙間があるようにした方が良い。

生垣等を除き、樹木同士がくっ付いていると、その箇所が蒸れて枯れてしまう。

見栄えが悪くなり、通風と採光が悪くなって病害虫のリスクが上がる。

さらに隙間がないと人が入って作業出来ず、余計に状況が悪くなる悪循環に陥る。

私の偏見だが、多くの庭が、植栽を過密にし過ぎる傾向があるように見受けられる。




【剪定の基本】

目標が決まったら、剪定後に枝が伸びた後の姿が、その大きさになるように剪定する。
先ずは、枯れ枝を除く事から始めると良い。

これだけでも通風と採光が良くなるし、見た目がスッキリする。

スッキリすると、どの枝を残して、どの枝を落とすか決め易くなる。
枯れ枝を除くだけならば、初心者でも恐れずに始められるだろう。
この後に、本格的な剪定に取り掛かる。

樹木の最も高いところを頂点に、枝葉の先端を結んだ輪郭を樹冠(じゅかん)と呼ぶ。
樹冠から飛び出て樹形を乱す枝を落とすと良い。


枝を挟む際、以下の2つが基本となる。

・不要枝を落とす際、枝元から剪定する。
・幹や枝の長さを調節したい場合、芽や枝のすぐ上で剪定(切り戻し剪定)する。




【不要枝】

剪定する枝の中でも、特に落とすべき枝は不要枝と呼ばれる。
不要枝の主だったものを以下に示す。

・ひこばえ

根元から伸びてくる枝。勢いが強い為に養分や水分を多く使い、樹勢が弱まる。
一本立ちの場合は、ひこばえ全てを枝元から剪定する。
株立ちの場合は、必要なものを残す事により、株を充実させたり、古い幹から新しい幹に更新したり

する。




・徒長枝(とちょうし)

横枝から真っ直ぐ上に強く伸びる枝。
樹形を乱し易いので、必要でなければ落とす事が多い。



・交差枝

枝と枝が重なり合って込み合っている枝。
剪定すると見栄えがスッキリするほか、通風と採光が促される。


・腹切り枝

枝が内側に曲がって伸び、幹が切腹しているように見える枝。
樹形を乱して見栄えが悪い。


・頂上枝

幹の上部で、真っ直ぐ上に向けて強く伸びる枝。
放置すると、幹が複数ある状態になり、樹形を乱す。
中心部の幹、又は幹にする予定の枝を残し、剪定する。


・平行枝(重なり枝ともいう)

近くで平行に伸びる枝。
放置すると込み合うので、1本を残して枝元から落とす。


・飛び枝

樹冠から飛び出す強い枝。樹形を乱さないように剪定する。
他に代わりとなる枝があれば枝元から剪定してもよいが、なければ切り戻し剪定。


・下がり枝

下向きに伸びる枝。そこに枝が欲しくて樹姿を乱さなければ、剪定しなくともよい。


・車枝(くるまえだ)

1箇所から複数伸びる枝。込み合うので、必要な枝を残して他は落とす。
樹種や仕立て方等によっては落とさない。


・幹吹き枝(みきぶきえだ)

成木で、幹から直接生えてくる枝。そのまま成長すると樹勢を弱めるので、枝元から落とす。
そこに枝が欲しければ、伸ばして好みに仕立てる。


・かんぬき枝

主幹の同じ高さの場所から、逆方向へ伸びる枝。対生枝を伸ばす性質の樹種ならば当然現れる。
必要の応じて、樹姿全体の均衡を見ながら片方を落とす。
仕立て方等により、落とさない事も有る。




【自然樹形】

自然樹形(又はそれに近い樹形)、とりわけ雑木のそれは、実は難しく奥が深い部類である。
特に高木で顕著だが、自然に育つままに任せては大きくなりすぎるので、大きさを適度に維持しつつ、自然樹形(に見えるように)仕立てなくてはならない。
生垣や、既に出来上がった仕立物を刈り込んで整えるより、ずっと難しい。
販売用に育苗している時の剪定とも違う。
出来ないわけではないが、剪定した本人の腕によって大きく差が付く事になるだろう。



枝を剪定して大きさを維持しつつ、自然な枝の流れに仕立てると良い。
枝先の長い枝・強い枝を剪定して長さを整える。
短い枝を適宜間引きながら残すと、柔らかくて自然な枝の流れなり易い。




【その他】

立性の樹木は、下部より上部の方が良く成長する。
従って、剪定は下部を弱く、上部を強く切り詰める。



剪定後に伸ばしたい葉芽や枝のすぐ上で剪定すると良い。
剪定後、その芽や枝が新たな枝として伸長する。
切り込んだ付近の芽や枝が複数伸びるので、伸ばしたくない枝も予め剪定しておくと良い。
ツツジ等萌芽力の強い樹種は、幹や枝の途中で剪定しても萌芽するが、芽や枝のすぐ上で剪定する事を基本にすると良い。
外側に向けて生えている芽や枝の上で剪定すると良い。伸びた枝も外側に伸びていき、樹形が整う。
内側の芽を残すと内側に伸びる為、樹形を乱し易い。



込み立った枝は余分な枝を取り除くと、通風と採光が良くなり、病害虫の予防になる。
見た目もスッキリと綺麗になる。



※※※


剪定についてはまだまだ書くべきことが多いが、とりあえずここまで。